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2006年7月16日 - 2006年7月22日

2006年7月20日 (木)

戦後沖縄キリスト教史講義 番外編:「定期試験」をやってきました。

きょうは、K女学院で定期試験を行いました。講義の題目は「キリスト教学(日本キリスト教史)」ですが、内容は「戦後沖縄キリスト教史」です。

設問は以下の3つ。ただし、学生たちはこのうち1問だけを選んで答えます。

【設問】

  1. 軍隊とキリスト教の関係を「チャプレン」「宣教師」「宣撫」「福祉」の4つのことばを必ず使って論じなさい。          
  2. 沖縄のキリスト教の特徴を具体的にいくつか挙げて説明しなさい。その上で、「キリスト教はひとつである」という説についてあなたの考えを述べなさい。                     
  3. キリスト教が地域社会直面する著しい困難や諸問題に対峙するときの姿勢について、1940年代、50年代の沖縄を事例にあなたの思うところを述べなさい。

1問目。チャプレンは「従軍牧師」で、基地内のチャペルで牧師をしているが、現役の将校の身分をもっている。つまり、牧師であり、現役軍人である。その米個々人で、軍人のチャプレンと民間人である宣教師が現在でも沖縄にいる。この両者は現役将校と民間人といちいがあるので当然沖縄人・沖縄教会・沖縄人キリスト者に対する態度や行動は違っていたが、反面、米国人として共通点もあった。そして、両者は沖縄のキリスト者とチャプレンを媒介として沖縄の地域社会と米軍基地を連結しようとしていた。その媒介を促進し、米軍が沖縄の地域社会に浸透を図るのに用いたのが「福祉」や「慈善」という手法であった。これは、占領軍が被占領地においてその地歩を固め、半永久的に軍が駐留するためにとられる「宣撫工作」の一環であった。このような手法は、米軍が駐留することによって発生する事件や事故のいわゆる「沖縄問題」を隠蔽する役割も果たした。そのような「米国(人)のキリスト教」と「沖縄(人)のキリスト教」がどのような距離をとったかを時代を追って読み解いていくのがこの講義のひとつの狙いであった。

2問目。通常キリスト教史ではカトリック・プロテスタント・正教会等々や教派でキリスト教を分類している。ところが、この講義では所属する国家や民族、社会的地位や立場によって、たとえ同じ教派でもその思想や行動は違っていることを実例を挙げて講義してきた。そして、大半(ひょっとすると100%)がノンクリスチャンである学生に対して、キリスト教の信仰をもつことが重要なのではなく、どんな信仰を持ちどれを社会生活の中でどのように実行していくかが大切だと、繰り返し論じてきた。これは、信徒の立場からキリスト教史を論じるわたしの一種の「信仰告白」でもあった。
同時に、「ひとつ」という思想は団結や統一、一致を表すが、それは反面で排除や差別、格差を生んでいく。現在の米国で進行中のこと、日本基督教団でここ数年間に進んでいることに対するわたしの研究面からの反対表明がそこにある。

3問目。キリスト教会は、地域社会のなかにたてられている。なかんずく、周囲を「異教徒」に囲まれた沖縄や日本における「マイノリティ」としてのキリスト教会は、その「異教世界」である地域社会ただ中にたてられている。そして、その地域社会は信徒の生活の場でもある。
その地域社会に福音を伝道するということはどのようなこことなのだろうか。私はこの問を修士論文に着手したときから考え続けている。出発点は、いまから120年以上前の岡山や高梁(現岡山県高梁市)で、続いて、北海道の遠軽(北海道家庭学校)で、そして、沖縄で。また、阪神大震災では、地域社会が危機に直面したときの地域の教会と教団中央・キリスト教界と落差を目の当たりにした。
そのような体験から「地域教会」という概念を、なんとか作り上げようと考えている。

このように、K女学院での講義は、わたしにとって挑戦的な課題を教会の内部に向かってではなく、外部の人々に問う得がたい機会である。わたしの講義を聴きたいから聴きに来ているのではなく、ただ必修科目であるから空いた時間を選んで取りに来ているに過ぎない学生も相当数いる。また、中には幼児洗礼を受け、幼稚園からキリスト教系の学校で、キリスト教の信仰告白をしている学生もたまにはいる。そのようにキリスト教に対する知識も、体験も、印象もさまざまな学生に、届く言葉をわたしが獲得したか否か。定期試験はわたしの定期試験でもある。

さて、今学期。いつも講義に出席し、熱心にメモをとりながら話を聞き、講義中も積極的に発言をしてきた学生たちの理解はまずまずであった。わたしの今期の講義は、その完成度も合わせて、60点代の合格すれすれだろうか。

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