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2008年3月19日 (水)

雲の上を行く

午前中神戸空港を経って、昼すぎに那覇空港に着いた。途中、荒天から雲の上にでるまでは少し揺れたが、厚い雲を抜けると安定した。しばらくすると機長のアナウンスがあった。

当機は、ただいま鹿児島の東の上空を通過中です。…(中略)…当機は、現在、高度約38,060フィート、11.6km、対地速度時速約750㎞で航行中です。

高度を「㎞」で聞いたのは多分初めてだと思う。「11.6㎞かぁ。『㎞』でいわれると、実感が湧く」と妙に感心しながら、窓の外に目を落とすと、真っ白い雲のフカフカのジュウタンが広がっている。しばらく、その白さと、なめらかさに目を奪われていると、直に妙な気分になってきた。窓の外の景色が全く変化しないので、乗っている飛行機がまるで止まっているような錯覚が襲ってきた。しかし、現実には、この飛行機は「対地速度時速約750㎞」の高速で那覇に向かって南下しているのだ。

その美しい風景と不思議な感覚にひたる中、ボンヤリとこれからの研究のことを考えていると、飛び立ってから現在までのことが、いまの「沖縄戦後キリスト教史」研究についてのわたしの歩みと重なって感じられた。約10年前、この研究をはじめた時、つまり、滑走から離陸の時には、ほとんど先行研究もなく、手探りの状態が続いた。しばらく沖縄に公文書館や図書館、沖縄教規資料室に通い詰めて来る日も来る日もあるかどうかも分からない「史料」を探していると、このまま目的地に到着することはないのではないかという感慨にいくどともなく襲われた。つまり、教の荒天で喘ぎつつ、ふらふらしつつ、エンジン全開で上昇するこの飛行機のようだった。

そして、今。「見つからないのでは………」という焦燥感は消えたが、かわりに、やってもやっても進んでいるように感じられない新しい感覚に捕らわれはじめている。

でも、心配は無用。の様な気がする………。飛行機は次第に高度を下げ、雲の中に突入すると、とたんにがたがたと揺れはじめた。そして、また急速に高度を下げると(「嘉手納ラプコン」のせい)、鉛色の海が見えはじめた。そして、10数分。那覇空港にランディング。

きっとそうなのだろう。これから、もう一山あって、次第に研究の最終地点が見えてくる。曇り空だが、雨は降っていない、暖かい那覇の街を歩きながら、そう思った。

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