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2008年6月16日 (月)

あなたは、けっして、ひとりではない

この土曜日(6月14日)に南山大学で学会発表をしました。「宗教と社会」学会というちょっと変わった名前の学会です。この時期には、割りといろいろな事柄が重なり(実はその翌日の6月15日は私の誕生日)、ここ数年、出席できなかった学会です。だから、いろいろお世話になった方々に、わたしのずいぶん不義理をしてしまっていたのです。それで、何となく顔を出しづらかったのも事実です。

研究発表自体は、思ったより、ずいぶんうまくいきました。なにしろ、「研究発表25」分は普通ですが、質疑応答25分」なんて、他の学会ではありえないですから。だから、どんな質問が出るか、内心ドキドキしたのですが、それも有益な議論ができたと思います。これまで、不義理を重ねてしまっていた方々から思わぬフォローをいただいたり、とってもあり難いことでした。

この年になっても学会発表をするのは、いくつか理由があります。でも、そのとき感じたのは、「自分は一人ではない」、ということです。志ある人は、志ある人の声に耳を傾けるように、自分がしっかりとした志をもって、それを堂々と表明すれば、それに必ず、同じ思いで応えてくれるひとがいるということです。

わたしは、決してひとりではない。

それが、しっかり実感できました。

しかし、残念なこともありました。それは、まだ若い院生の発表でした。確かに、よく勉強しているのですが、腑に落ちないことがたくさんありました。それは、内容にかかわる問題では、とりあえずありません。動機にかかわる部分です。

なぜ、あなたはその研究をしているのでしょうか。

何度も、そう問いかけたくなりました。つまり、その若い院生=研究者の“卵”がその研究にとりくむ切実さが、いっこうにその研究発表からは感じられなかったのです。その発表に、どこか「他人ごと」(表現は適切ではないのですが)のような雰囲気が感じられてしかたがなかったのです。

本人が、切実に思い、自分の実存をかけて取り組んでいるもにに対して、わたしもその志に見あうだけの想いでそれに応えたいと思うのですが………。だから、難易か、とても時間を無駄にしたような、虚しい感じがあったのです。

さて、これは、わたしが、最近のゼミで感じたことと通底しています。ゼミに来る学生に卒論の課題を決めさせることが、年々困難になってきています。つまり、一部の学生には、切実に解決したいことも、とってもこだわっていることも、大好きなことも、大嫌いなことも、とてもつらいことも、悲しいことも、嬉しいこともないようなのです。

わたしは、それが信じられないし、実感として理解できないので、ずいぶんとまどっているのです。そのとまどいの感情が、実は、学会の発表でも出てきてしまっているのです。

だから、そのような人たちに、云いたいことがあります。

あなたは、決してひとりではない。

なんだか、自殺志願者に語りかけているようですが。また、とっても、過保護なような気もするのですが。でも、「あなたは、なぜ、そんな研究をしているのでしょうか」というきわめてシンプルな質問に、しどろもどろになりながらでもいいから、「内発的な動機」や、感情や心情、熱情や情念のレベルで誠実に答えられないこと。それは、研究者の“ハシクレ”であれば、とっても恥ずかしいことだと思ってほしいのです。

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