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2011年3月20日 - 2011年3月26日

2011年3月20日 (日)

無力な、力(一部加筆あり)

外は、いつの間にか雨が降りはじめました。ここ数日、急に温かくなり、厳しかった冬から春に季節が移りはじめています。そう思ったら、この二日あまり、雪の舞う真冬に逆戻り。ゆきつもどりつでしょうか。

そして、3月11日。

あの、東日本大震災(東北関東大震災、東北地方太平洋沖地震)から、もう、一週間も経ってしまいました。

神戸にいたわたしは地震を感じることはなかったのだけれど、パソコンの画面で大きな地震があったことを知りました。そして、しばらくつけていたテレビから最初の津波の映像を見て戦慄しました。濁流が渦を巻いて車やら魚のケースやらを翻弄しています。これが、日本の風景か、と。

それから、しばらく、わたしは無力感に苛まれています。そして、なにかしら、わたしは、ひどくではないけれど、心が傷ついているのです。

その原因ははっきりしています。わたしがこの事態に直面しても動くことが出来ないからです。多くの人が傷つき、命を失いつつあるなかで、それらの人と助け、命を救う力があるひとがいて、その人達の奮闘を遠く離れてテレビでしか見る事が出来ない。

それから、16年前の阪神大震災での光景が、絶えず二重写しになって、なんだか涙が流れてきます。あの時、わたしは、いろいろなものを捨ててしまって、本当に変わってしまいました。だから、体も心もかたまってしまって、動けないでいます。

16年後のいま、わたしにできるとことは、数人の知人の安否を確認し、そのひとたちが無事だったことと、被災地でひとりでも多くの命が救われ、傷ついたひとが癒されるよう、ただ神に祈ることだけです。これほど、わたしは無力です。

あなたがたを襲った試練で、人間として耐えられないようなものはなかったはずです。神は真実な方です。あなたがたを耐えられないような試練に遭わせることはなさらず、試練と共に、それに耐えられるよう、逃れる道をも備えていてくださいます。                  「コリントの信徒への手紙 一 10章13節」

わたしは宗教家ではありません。しかし、ひとりの信仰をもつ人間として出来ることは、祈ることと、ともに泣くことだけです。そして、宗教に出来ることは、ひと(信者、信徒)を動員して者や金を大量に集めて,送り、配ることもあります。それは、いろいろな意味でとても重要なことです。外形的には企業や運動団体がすることと同じでも、救いや癒しを標榜する集団がそうすることの意義はあるとおもいます。しかし、宗教にはそれ以外にもそれらしい働きがあると思うのです。

大きな災害や事件があった時、そこであったこと、そこにいるひとのこと、そして、その想いをいつまでも記憶にとどめて、忘れないこと。そして、重要のは、それを時間をかけて、上手に、だんだん忘れることです。わたしは、自分が死んだ時、わたしを直接知る人が生きている間はわたしの存在を覚えておいて欲しいとおもいます。けれども、それらの人がまったくこの世にいなくなってからも未来永劫わたしのことを誰かに覚えておいて欲しいとは思わないのです。だから、覚えておいて、そして、だんだん、上手に、時間をかけて、わたしがこの世に生きていたことを忘れて欲しいと思います。宗教にはそれができると思うのです。

そして、諦めないで、一生懸命がんばること。それは、この時期とても大事だということは、その通りです。しかし、同時に諦めることはとても難しい、しかし、諦めないで、諦めるという矛盾するそれぞれの行為や想いを両方大事にしながら、それを両立させていくことも、宗教ならできると思います。

覚えながら、忘れること。諦めないで、諦める。それは、けっして、力のあることではありません。むしろ、「無力な、力」。

宗教家や宗教の研究者がいまするべきことは、今回の災害があたかも神や超越者の「天罰」であるかのような言説をまき散らすことではないと思います。今回の災害が、「我欲」や「無信仰」、近代文明の「ツケ」がたまったがゆえの「天罰」だとかいわれると、わたしはとて見傷つくのです。阪神大震災の時も、そういわれたから。宗教の役割は、こうしてひとが傷つくことも気がつかないで、理不尽なことを、あたかも預言的にいうことではないと思います。

祈ることや、覚えておくことは、とても些細なことです。自慢でもないし、誇れることでもありません。しかし、このような「無力な、力」がきっと意味を持つ時がくるのではないかと思っています。

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