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2012年8月26日 - 2012年9月1日

2012年8月30日 (木)

アジアとキリスト教〜できたての出版社の志(こころざし)と試み〜

できたばかりの出版社から、「アジアキリスト教叢書」という魅力的なシリーズが出版されるらしい。その最初の作品として出版されたのが、徐正敏さんの『韓国キリスト教史概論 その出会いと葛藤』である。

出版社は、「かんよう出版」。今年(2012年)3月、大阪にできたばかりの出版社だ。HPを見ると、自社のモットーとして、

読者の負担は少なく(Little)、装丁はシンプルに(Simple)、著者とつなぐ(Connect)」というL.S.C が、かんよう出版の基本的なモットーです。できるだけ多くの人が良い本と出会うことができるために、かんよう出版は努力したいと考えています。

とある。

それにしても、ヨーロッパでもなく、アメリカ大陸でもなく、アジアのキリスト教について叢書を出そうという試みはキリスト教史研究だけでなく、キリスト教学全般でも圧倒的少数派であるアジア諸地域ののキリスト教研究者に希望を与えることになるだろう。また、民俗学や文化人類学、宗教社会学などの研究者でアジアのキリスト教を研究対象にしている人びとにも史劇になるだろうと思う。

さて、韓国・朝鮮のキリスト教史についてはすでに相当な蓄積がされている。この『韓国キリスト教史概説』は、それをふまえた研究になっている。

その上で、本書は、註釈をつけず、巻末に「用語・人物解説」を載せるスタイルをとっている。また、本書は基本的に通史的な記述になっているが、一つ一つの事実を積み重ねながらもそれぞれの時代のキリスト教の役割や直面する問題点を指摘していく。そして、朝鮮・韓国キリスト教史を研究する際に必要な視座について、「出会い」と「葛藤」という概念でそれを端的に語っている。

これらの意味で、本書は、新たにこの分野の研究をはじめようと思っている人や、研究者でなくてもこの分野に興味がある人びとにとって格好の入門書になるだろう。

わたしも沖縄キリスト教史や先島・奄美を含めた南島キリスト教史を、日本キリスト教史の枠ではなく、アジアのキリスト教史、あるいは、アジアと対峙するキリスト教史として描きたいと思う。そして、その先に、わたしの目ざしている「キリスト教交流史」がある。本書を読みながら、また、かんよう出版の志と試みに触れながら、そう思った。

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