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2012年10月21日 - 2012年10月27日

2012年10月27日 (土)

扉は開くか。そして、その扉の向こうは、新しい世界なのだろうか。

これから、恵泉女学園大学でシンポジウムです。

http://www.keisen.ac.jp/extension/open-class/2012spring/others/post-68.html

現在、多摩センターの某カフェで、発表の「ひとり作戦会議中」です。外は、Halloweenの祭りなのか騒々しいです。

さて、以下は、きょうの発表の要旨です。


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交流史の結節点としての《琉球=沖縄》とキリスト教

─日本キリスト教史研究の新たな地平へ─


日本キリスト教史研究は、1980年代半ばをもってその進展を止めてしまっているのか。しかし、わたしたちはこの20数年間、一カ所にとどまって、研究を停滞させてきたわけではない。従来の日本キリスト教史、とりわけ、戦後における研究の蓄積をもとに、新たな対象を求めて研究の枠と幅を広げてきた。そのような学的試みを可能にする方法論や研究の枠組みは、まだ確立途上である。しかし、わたしたちは外に向かってはグローバル化し、内では宗教全般に対する不信感のなかで、時代のふさわしい歴史認識を求めてキリスト教史研究に取り組んできた。

本発表では、90年代以降の新しい研究の試みをフォローするために「キリスト教交流史」という方法論を提示する。そして、その「キリスト教交流史」という方法を使って、前半では「地域キリスト教史」の可能性を論じる。そして、後半では近代沖縄キリスト教史を日本キリスト教史から相対化し、東アジアのキリスト教交流史のなかに位置づけるという試みを行う。

それらの前提として、まず、従来の「日本」キリスト教史の問題点をいくつか指摘した。これまでの日本キリスト教史研究は、日本という国家の枠のなかに閉じた領域で語られた「一国伝道史」研究であった。その「一国伝道史」を支えてきたのは、1859年の横浜・長崎伝道を「神話化(ファースト・コンタクトの「神話化」)」し、それを起源として地方のキリスト教伝道や各個教会の歴史を語る単線的歴史観であった。また、この単線的歴史観は、宣教師と日本人牧師が半開の「地方」を「文明化」しようとする「地方伝道史観」というイデオロギーをともなっていた。

このような従来のキリスト教史研究の視座と歴史認識は、日本の様々な地域で花開いたバリエーションに富んだ伝道と、信徒たちの自律的な信仰生活、非キリスト教的地域社会との緊張感をはらんだ交流の実際を捨象してきたのではないか。それが、日本におけるキリスト教の「民衆化」の契機となり得たかも知れないリヴァイヴァルを、キリスト教界、特に、宣教師や日本の指導的な伝道者たちが封じ込めてきた歴史を見落としてしまっていることを指摘した。

さて、本発表の根幹にあたる「キリスト教交流史」は、以下の3つの問題群に取り組むことをさしあたりの目標にしている。

(1)キリスト者と地域社会の交流の実態を社会史的な手法で解明し、キリスト者・非キリスト者による地域形成の事例を発掘・研究する。

(2)教会の周縁性と辺境性に着目し、他地域・国家との交流による信仰や教会の変化をトレースすることで、国境をまたぐ地域のキリスト教史の統合的再構築を目ざす。

(3)国境を越えて行き来する伝道者や信徒の動向を注視し、キリスト教のグローバルな展開による成果と可能性を包括的に叙述していく。

本報告の後半で述べた近代沖縄キリスト教史は、これらの問題群を網羅している。

沖縄のキリスト教は、各時代に日本と周辺諸国、特に、東アジア・南洋等とのキリスト教を基盤とした交流の結節点となってきた。そこで、「キリスト教交流史」の事例研究として近代以降の沖縄キリスト教史を概観した。その結果、沖縄でも、沖縄島と宮古群島、石垣群島ではそれぞれ特徴のあるキリスト教の受容と教会形成が行われてきたことを実証した。また、そのような各地域での伝道の特徴は、外部の人や思想とのコンタクトと、信徒や伝道者の政治的・経済的力学と文化的交流の所産であることを示した。また、沖縄では、キリスト教を一方的に受容するだけではなく、移民や植民によって域外(海外)に活動の場を求めたキリスト者もいたことも指摘した。

最後に、沖縄のキリスト教は極めて政治的な側面を持つ。それは、戦後、米軍の占領下にあり、本土復帰後も、米軍や日本政府と対峙せざるを得なかった事情がある。それらを含めて、本発表では「キリスト教交流史」という手法を用いて、教会とキリスト者を地域社会や歴史のなかに置き、これまでのキリスト教史が見てこなかった側面を注視することに努めた。

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