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2013年5月5日 - 2013年5月11日

2013年5月 6日 (月)

〔告知〕学会発表「奄美群島の教会形成と南島キリスト教交流史研究試論─沖縄伝道との関連で─」

以下は、来たる6月15日(土)〜16日(日)に三重県の皇學館大学で開催される「宗教と社会」学会第21回学術大会で研究発表をします。わたしの発表時間は14:00〜14:50です。

先日の奄美大島・喜界島のフィールドワークでは、多くの人にお世話になり、いくつかの「大発見」がありました。懇切丁寧にご案内等を頂いた方のご厚情に応えるべく、この研究発表以降の発表に、その成果を繁栄したいと思います。

以下は、わたしの研究発表要旨です。

〔研究発表要旨〕

奄美群島の教会形成と
   南島キリスト教交流史研究試論

       ─沖縄伝道との関連で─

奄美群島には、主島・奄美大島とその周辺の島々(奄美市(笠利地区、住用地区、名瀬地区)、瀬戸内町、龍郷町、大和村)、喜界島(喜界町) 、徳之島(天城町、伊仙町、徳之島町)、沖永良部(知名町、和泊町)、与論島(与論町)がある。そこには、63のキリスト教会があり、約2万人のキリスト教徒がいるといわれている(『キリスト教年鑑 2012年度版』(キリスト新聞社)による)。そして、キリスト教徒の対人口比が17.04%と日本の他地域に比べて突出して多い。また、奄美群島はカトリック教会が46あり、その信徒も約5,000人おり、まさに「カトリックの島」である。

このように、奄美群島は日本のキリスト教史にとって特筆すべき地域であるにも関わらず、先行研究は多くない。例えば、安齋伸によるカトリックやイエス之御霊教会の研究がある。その他、カトリックの場合、戦前の大島女学校の弾圧事件についは比較的多くの研究がなされている。しかし、プロテスタントに至っては木ノ脇悦郎による研究(「奄美大島におけるキリスト教受容とその展開の研究(3)─プロテスタント教会の宣教─」(『キリスト教主義教育』№2619983)。この他、序説と大島高等女学校に関する研究((2))がある)があるのみである。

これらをふまえた上で、本発表では、発表者がこれまで行ってきた沖縄キリスト教史研究との関連で、まず、奄美群島における新旧両教会形成史を概説的に述べる。その上で、沖縄伝道との関連を指摘し、今後の奄美群島を含む南島キリスト教史研究の手がかりとしたいと考えている。

また、本発表では、「キリスト教交流史」という方法論を用いる。キリスト教交流史は、第一に国家や教派の枠を超えて対象(地域における教会形成)を捉える(「越境」)。第二に、地域における教派横断的な教会形成や非キリスト教団体・個人との協働などを重視する(「地域主義」)。第三に、これらの分析を可能にするために周辺諸科学を積極的に援用する(「学際」)

奄美群島は行政的には鹿児島県で、奄美のカトリック教会も鹿児島司教区に属している。しかし、奄美群島は文化的に琉球文化圏に近く、その傾向は沖縄島に近づくにしたがって強くなっているといわれている。そのため、戦前、奄美群島や沖縄県に伝道したプロテスタント各派の伝道管轄圏は一様ではない。例えば、日本メソヂスト教会は「九州南部」から「沖縄部」を分離し、後に「南島宣教部」としたが、奄美群島は南島宣教部の管轄であった(「分離型」)。一方、日本基督教会(旧日基)の沖縄伝道は鎮西中会の管轄で、1930年代以降、八重山群島で頻繁に伝道集会を開催していた。そして、旧日基の奄美(喜界島)伝道は鹿児島地区の管轄であった(「包摂型」)

このほか、奄美出身者や同地に縁のある個人もさまざまな「越境」を経験している。それらの一例であるが、イエス之御霊教会は琉球(沖縄)・奄美を含む南島地域に広く分布するが、その創始者・村井ジュン〔屯+二〕は、20世紀初頭に那覇で伝道したメソヂストの牧師・村井競(鹿児島県出身)の子どもである。また、徳之島出身の大保富哉は放蕩の末に出郷後、さまざまな遍歴を果てに首里メソヂスト教会の初代牧師となる。彼は、離沖後、関西に渡り、沖永良部や徳之島出身者のコミュニティのなかで伝道している。この他、南島地域のプロテスタント伝道者のなかには台湾や朝鮮半島、旧満州、南洋群島、ハワイ等帝国・日本の周辺部での伝道経験があるものがいる。

このように、移動や越境を研究の視野に入れるためには、キリスト教交流史という方法論は不可欠である。

 以上、本発表では、このような事例を各教派の機関誌や教会史、個人の記録などからいくつか抽出し、その特徴を追究してゆきたいと考えている。

 

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